医師・医療機関経営者・広報担当の皆様へ
【最終更新日】2021年3月01日
「宣伝をしていきたいが、広告規制が気になる」
「ガイドラインを守って、情報配信していきたい」
このページは、今後の広報活動を見直されている医療機関様に向けて作成したものです。
厚生労働省では、定期的に「医療広告ガイドライン」が⾒直しを図っています。
株式会社MIRAIZUではガイドラインの要点を分かりやすくまとめ、定期的に内容を更新しながら情報配信しております。
新規集患や地域の皆様からの信⽤獲得のためには、日々の広報活動は欠かせません。
しかしながら、今は規制事項等も多くなり、かつ複雑化していて何をしたらいいのか悩んでいらっしゃる医療機関様も多いと思います。
広報活動をする上で、医療広告ガイドラインの知識はとても大切です。
医療従事者の皆様には、医療広告ガイドラインを正しく理解していただき、違反しない範囲での広報活動にご協力頂けると幸いでございます。
広報担当の方は、一読頂き、今後の広報活動にお役立てください。
医療機関経営で大切な広告ガイドライン
目次
医療広告ガイドラインとは
医療法の改正によって、新たな「医療広告ガイドライン」が定められ施⾏されています。
※ 2020年7月現在、医療広告ガイドラインの最終更新は2018年6⽉です。
大きな変更点としては、
『医療機関のウェブサイトが原則規制の対象になった』
という点です。
現在では、患者様・地域の皆様が医療機関を選択する上で、評判や⼝コミだけでなく、インターネット上での情報収集が⼀般的になっています。
競合他院との差別化や認知を⾼める必要がある病院・クリニックは、積極的な広報活動で認知度を拡⼤していかなければなりません。
2018年6⽉1⽇:医療法の改正による変更点
WEBサイト(ホームページなど)の電⼦公告は、
患者様が「自ら望んで検索して認知できる(得られる)情報」という観点から、
これまで(〜2018年6月)は医療広告の対象となっていませんでした。
しかし、今回の改正によって、
- ウェブサイト
- メルマガ
- パンフレット
なども、規制の対象(2018年6月)となりました。
規制対象|広告とみなす
- ホームページ(2018年6月〜)
- チラシ・パンフレット・ポスター
- メール・DM・FAX
- フリーペーパーへの掲載
- 院外設置看板・野立て看板
- 新聞や雑誌等への掲載(費用を負担するもの)
規制対象外|広告ではないと判断
- 学術論文・発表
- 求人広告
- 患者様自身が配信する情報
→ 自身のSNSや出版物 - 院内掲示・院内での配布物
- 新聞や雑誌等への掲載(費用を負担しないもの)
違反対象となる3つのポイント
医療広告のガイドライン違反に接触する3つのポイントをご紹介します。
- 1:誇大広告である
- 2:比較広告である
- 3:客観的根拠・事実が証明できない。
NG表現例
- 地域No.1の〇〇
→ 誇大広告・比較広告 - 芸能人御用達の〇〇
→ 誇大広告 - ●●さん(著名人)もオススメしている〇〇
→ 誇大広告 - 経験豊富な医師・名医と評判の医師
→ 誇大広告 - 開院からわずかで、たくさんの方にご来院
→ 誇大広告・客観的根拠や事実がなし(数字で示す必要あり) - ○○の手術は多くの知識・経験が必要だが、
経験の未熟なスタッフが手術を担当することも多い。
→ 他院の誹謗・優良誤認になる可能性が高い。
以上、上記は医療広告ガイドライン違反に接触(もしくは接触する可能性が高い)表現です。
ガイドライン違反が多いケース
体験談(患者様の声)
体験談に関しては、患者様個⼈の主観によるものであり「治療の内容・効果に関する事項」については原則禁⽌事項です。
また、患者様からの体験談として、
- 痛みが治った!
- 症状が良くなった!
- 動かせるようになった!
等の改善の体験談は、保証表現となってしまうため、避ける必要があります。
但し、治療と直接関係しない内容(院内がきれい、アクセスが便利など)は禁⽌事項に該当しません。
また、個⼈がSNSに投稿掲載する等に関しては広告に該当しないこととなっています。
Before(術前)・After(術後)
例えば手術前の状態と手術後の状態を、Before& Afterとして写真等で紹介する場合は、注意が必要です。
- 治療内容(手術経過など)
- 治療に必要な費⽤
- 治療上のリスク
など、写真だけでなく、詳細を明記する必要があります。
宣伝できること・できないこと
1:口コミ・体験談の紹介
NG
- 医院のホームページ
- 医院のチラシ
以上の、⼝コミや体験談の掲載は原則NGです。
OK
- 患者様個人のSNS
- 患者様個人のブログ(ホームページ)
以上の、⼝コミ・体験談・感想は原則OKです。
【補足】
クリニック等のホームページに「患者様の声」として⼝コミや体験談を載せることについては、医療広告のガイドラインに違反します。
しかし、規制されているのは治療内容とその効果についてのみとなります。
- とても通院しやすい場所にあります!
→ OK - 先生はとても優しく、親身にお話を聞いてくださいました。
→ OK - 先⽣の治療は素晴らしいです!
→ NG
2:雑誌・新聞掲載の紹介
NG
- 雑誌・新聞で掲載された事を紹介する
事実であっても、原則NGです。
OK
- 院内に掲示物を貼って紹介する
以上のような形式は、原則OKです。
【補足】
- 「テレビ番組○○で紹介されました」
- 「テレビ番組○○で紹介された治療法と、同じ治療をしています」
- 「メディアで話題の治療機器を使っています」
というような広告・表現も原則NGです。
3:院長の紹介(挨拶)
NG
- 誇大表現・他との比較があるプロフィール(挨拶文)
は、原則NGです。
OK
- 開院○周年、医療機関●●で○年勤務、等の事実
は、原則OKです。
【補足】
- 虚偽の情報
- 誇大表現
- 比較優良となる表現
以上は、全て掲載NGです。
- 県内屈指の実績があります。
→ 客観的根拠・事実の証明がないためNG - 当院は最先端の医療を提供してきました。
→ 客観的根拠・事実の証明がないためNG
4:ホームページへのバナー設置
NG
- 医療広告ガイドラインで認められていない内容が記載されたバナー
は、原則NGです。
OK
- 広告可能事項(注:次の次章で解説)に限られている内容が記載されたバナー
は、原則OKです。
【補足】
提携している医療機関(大学病院など)が導入している医療器具メーカーのバナーを、自身のホームページに大量に貼り付けることも禁止(比較優良広告に接触する)
広告可能事項の限定解除
広告規制が限定的に解除されるケース
以下の条件に該当する場合は、規制されないとされています。
条件1
- 医療に関する適切な選択に資する情報である。
- 患者様が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告
→ 不特定多数の方が見るチラシ・看板、集客を目的としたネット広告はNG
条件2
- 連絡先・お問い合わせ先が明記されている。
- 治療内容(方法・費用など)が明記されている。
- 治療に伴うリスク・副作用等が明記されている。
特に自由診療については、条件2のような情報掲載が必要となります。
違反広告はどのように見つけているのか
発見される2つのケース
1:保健所の立ち入り検査
開業時及び何らかの事情によって立ち入り検査実施される場合、
・院内構造などのハード面
・運営体制や危機管理体制などのソフト面
双方から、チェックされます。
その際、ホームページ広告等、
医療広告ガイドライン(または医療法第6条)に記載された範囲内であるかどうかをチェックされるケースがあります。
2:厚生労働省のネットパトロール
厚生労働省にはネットパトロールをしている方がいらっしゃいます。その方々が、直接違反広告を発見するケースがあります。
3:第三者からの通報
第三者から通報があり、ガイドライン違反が発見されることもあります。
違反広告発見後のながれ
- 違反箇所
- 修正期限
以上が記載された「注意文」が、厚生労働省から送られてきます。
忠告を無視すると捜査が入るなどに発展する可能性もありますので、すぐに修正・削除することが望ましいです。
まとめ
- 2018年6月のガイドライン改定から、ウェブサイトも広告とみなされる
- 誇大広告・比較広告・客観的事実を証明できない広告は違反となる
- 「広告可能事項の限定解除」を理解しておく
- 第三者に紹介してもらう為の方法・戦略が必要不可欠